2025年4月12日(土)、東京都大山の音楽スタジオ「ダボスタジオ」で、七色の尾ーTOKYOー主催による能登復興応援イベントが開催されました。
きっかけは、主催者の中本さんが能登・輪島市でボランティアをされた経験でした。現地では懸命に日常を取り戻そうとする人々の姿がありましたが、復旧は思うように進んでいない現状がありました。その光景を前に、「自分にできることは何か」と考えたことが、このイベントへとつながったのです。
写真展示・ポストカード販売

会場内では、珠洲市在住の写真家・松田咲香さんによる写真展示が行われました。珠洲の祭りや風景、暮らしを切り取った作品が並び、来場者に思いを届けていました。
また、展示作品をもとにしたポストカードの販売も行われ、イベントをきっかけに珠洲への興味やつながりが広がる場面も見られました。
映画上映

ドキュメンタリー映画『凪が灯るころ〜奥能登、珠洲の記憶〜』(監督:有馬尚史)が上映されました。震災前後の珠洲市の姿や地元の祭りを映し出す映像に、来場者は静かに見入っていました。
上映後には、有馬監督が観客の質問にひとつひとつ丁寧に答えるやりとりが交わされました。映画への理解が深まるだけでなく、作品と観る人との距離がぐっと近づく時間となりました。さらに詳細な感想については、編集者の視点からまとめた記事を**こちらで読む**ことができます。
音楽ライブ

空空諸島、KOBALT、ヌーダピッシャーズ、UTH、小学校パパママバンド。ステージでは、ジャンルも世代も超えた音楽が響き合い、交流が生まれていました。
久々に楽器を手に取った人も、プロの演奏家も、集まった仲間たちと音を重ねながらそのひとときを大切にしている様子が伝わってきました。
お笑いライブ

お笑いライブのステージには、板橋シアター咲より、にーくん(スーパー弾力素材)、ロベルト三好、シャーピンが出演しました。
来場者の笑い声が会場に響き渡り、会場全体が和やかな空気に包まれました。多彩な表現が交錯するこの日ならではのステージは、イベントにまたひとつ広がりをもたらしていました。
カクテル提供
当日は、NY・マンハッタンでの経験を生かしたKAZさんによる、カクテルの提供がありました。
一杯一杯丁寧に注がれるカクテルは、来場者の間でも「美味しい」と評判になっていました。
主催者の想い
「被災地にどんな声が実際にあるのか、そして私たちは何をどう伝えられるのかを、一緒に考えていけたら——」
そんな対話が、写真家・松田さんとの間で交わされたことが、このイベントの出発点になったといいます。
主催の中本さんはこう振り返ります。
「これまでは、困っていることを聞き、それに応えることが助けることだと思っていました。でも、一緒に考えるという関わり方に気づきました。相手の方と共に悩み、答えを探すことが、本当の意味での支えになるのだと。」
イベント開催に向けて声をかけたところ、音楽仲間たちがすぐに集まってくれたそうです。
ある仲間は「自分の周りを支えるだけで手一杯」と話していましたが、それでも手を差し伸べることをためらいませんでした。
「そんなやさしさが、少しずつでも広がっていけば、知り合いが増えていけば、それだけで自然とつながりは生まれる。そのつながりが、子どもたちが生きる社会にとっても、きっと良い変化をもたらすはずだと思っています。」と話しました。
今後の活動
半年後には、再びイベントを開催する予定だそうです。
中本さんは、将来的には能登の人々とも一緒にライブができるような関係を築き、年齢や立場を越えて、交流の輪を広げていきたいと語りました。
まとめ
このイベントは、主催の中本さんが久しぶりに再会した仲間たちや新たに出会った人たち、そして長年の友人たちが力を合わせて作りあげたそうです。それぞれが自分の立場からできることを持ち寄り、互いに支え合いながらこの時間を共にしました。
写真、映画、音楽、交わされた笑顔によって、この日のあたたかな空気が作られました。誰かとつながり、居場所があるということの安心感。それを伝えたいという思いが、このイベントを開く意味だったのかもしれません。離れた場所にいる人たちにも、その思いが届き、少しでも力になれたなら。そんな願いを込めて、また一歩、前へ進みます。