コラム:芒種のころ

コラム

『雨が潤し、命を育む季節。紫陽花と心穏やかに過ごすヒント』

6月5日頃から約15日間は「芒種(ぼうしゅ)」。 「芒(のぎ)のある種」と書くように、稲や麦など芒(とげのような部分)のある穀物の種をまく頃という意味があります。ちょうど田植えの時期でもあり、私たち日本人にとって古くから、豊かな実りを願う大切な季節でした。

この時期は、しっとりとした雨が降り続き、草木は深く鮮やかな緑に染まります。そして何より、街を彩るのは、雨を受けていっそう輝きを増す紫陽花(あじさい)の花々。雨の憂鬱さを忘れさせてくれるような、その美しさには、思わず見とれてしまいます。

芒種の時期に知っておきたいこと

梅雨の真っただ中である「芒種」の季節は、湿度が高く、心身ともに影響を受けやすい時期でもあります。紫陽花のように、雨を受け入れてしなやかに過ごすためのヒントをいくつかご紹介します。

1. 湿気に負けない体づくり 湿度が高いと、体がむくんだり、だるさを感じやすくなったりすることがあります。 この時期は、体内の余分な水分を排出してくれる、利水作用のある食材を積極的に摂りましょう。きゅうりや冬瓜、枝豆、あずきなどがおすすめです。また、消化に負担がかかりにくい、あっさりとした和食を中心にすると、体への負担が和らぎます。温かいお茶やスープで体を冷やしすぎない工夫も大切です。

2. 心のケアも忘れずに 雨が続くと、気分が沈みがちになることもありますよね。そんな時は、意識的に「心地よさ」を取り入れる工夫をしてみましょう。 例えば、雨音をBGMに読書をしたり、好きな音楽を聴いたり。アロマディフューザーでリラックスできる香りを焚くのもおすすめです。また、雨の合間を縫って、少しでも外の空気を吸いに散歩に出かけると、気分転換になりますよ。

3. 紫陽花に学ぶ、美しさと強さ 紫陽花は、雨の中でこそその美しさが際立ちます。雨に濡れることで、花びらの色がより鮮やかになり、しっとりとした風情を漂わせます。 私たちも、この雨の季節を「恵み」として受け入れ、紫陽花のようにしなやかに、そして美しく過ごすヒントを学ぶことができます。雨の日は、部屋に一輪、紫陽花を飾ってみるのも良いでしょう。その姿が、きっと心を穏やかにしてくれるはずです。

暮らしの中に、小さな潤いを

「芒種」は、梅雨という恵みの雨が、私たちの暮らしや自然に潤いを与えてくれる季節です。 雨の日には雨の日の、晴れ間には晴れ間の、それぞれの美しさや楽しみを見つけることで、日々の暮らしがより豊かになります。 ぜひ、街中で見かける紫陽花の花に心を寄せ、この季節ならではの「小さな潤い」を大切にしながら、心穏やかにお過ごしください。